SE と Web 系の違いをエンジニアが比較【両方とも経験済み】
こんにちは。昔 SE のときは「一次請け SIer」「発注側の社内 SE」などを経験した Nash です。今は Web 系フリーランスエンジニアで週2だけ働いてます。
この記事は「SE と Web 系の違いを、本質的・表面的の2つの切り口で比較する記事」です。
下記のような人に向けて発信した記事です。
- SE から Web 系に行こうかと思ってる人
- SE か Web 系に行こうかと思ってて、違いを知りたい人
この記事は下記の流れで進めます。
- SE と Web の違いを「本質的」⇒「表面的」の順で説明
では、見ていきます。
※ SE =システムエンジニア、で SIer 系の話です。
※ この記事では「SE =上流工程やる人」とします。(SE って幅がめちゃくちゃ広い意味なので)
本質的な違い
まずは「本質的な違い」から説明します。
というのも、「SE と Web 系の違い」という観点で語ると、
- 給与
- 働き方
- 環境
- などなど
比較する点がメチャクチャあるんです。
だからこそ、最初に大きな視野で違いを理解するべきです。(SIer の歴史とかも書きたいけど、長くなりすぎる・・・)
それが**「花形」と「ビジネス構造」の違い**です。
これらの大本の部分が決定的に違うため、SIer と Web 系って、給与・働き方・職場環境が違うわけです。
「どっちのほうが給与が高い?」みたいな表面的で目先のポイントより、まずは本質的なところから見てほしいです。
川の上流を見ることで、「なんで下流がそうなっているか?」が、わかるはずです。 そのために、「花形」「ビジネス構造」という切り口で見ていきます。
先に結論は下記です。
- ビジネス構造 = SE は「ピラミッド構造」で、Web 系は「メッシュ構造」
- 花形 = SE は「マネージャーで、Web 系では「エンジニア」
では、説明します。
ビジネス構造の違い
まずは、ビジネス構造の違いです。
SE は「ピラミッド構造」で、Web 系は「メッシュ構造」になります。
それぞれ説明します。
SIer 業界では、会社レベルでピラミッド構造。
SIer 業界でシステムを作るときの流れを説明します。
こんな感じで、仕事を投げます
digraph G{
一次請け -> 二次受けA
一次請け -> 二次受けB
二次受けA -> 三次受けX1
二次受けA -> 三次受けX2
二次受けB -> 三次受けY3
}
- 「システムを欲しい会社」が「システムを作る会社」(一次請け)に仕事をお願いする。
- 「一次請けの会社」は更に「別の会社」(=二次請け)に「システムを作ってー」と依頼する
- 「二次請けの会社」は更に「別の会社」(=三次請け)・・・(以下、無限ループです。)
会社レベルで仕事の依頼がピラミッド構造になっているわけです。
そして、会社の組織も同じ感じです。
digraph G{
マネージャー -> リーダーA
マネージャー -> リーダーB
マネージャー -> リーダーC
リーダーA -> メンバー1
リーダーA -> メンバー2
リーダーB -> メンバー3
リーダーB -> メンバー4
リーダーC -> メンバー5
リーダーC -> メンバー6
}
そして、会社内でも、一番上から
- マネージャー
- リーダー
- メンバー
みたいにピラミッド構造があります。
Web 業界では、自社完結でチームもメッシュ構造
Web 系の会社では、モノを作る場合は自社内で完結します。 つまり、自社でサービスを考え自社のメンバーだけで作ります。
そもそも、基本的には他社に依頼することはありません。
また、自社のチームの構造もメッシュ構造に近いです。
ピラミッド的なリーダーが一人いて、トップダウンで仕事がおりていくのではありません。 それぞれのメンバーが、それぞれ個々に仕事を進めます。
digraph G{
graph [
layout = circo
]
リードエンジニア -> エンジニア1 [dir=none]
リードエンジニア -> エンジニア2 [dir=none]
リードエンジニア -> エンジニア3 [dir=none]
リードエンジニア -> デザイナー [dir=none]
エンジニア1 -> エンジニア2 [dir=none]
エンジニア1 -> エンジニア3 [dir=none]
エンジニア1 -> デザイナー [dir=none]
エンジニア2 -> エンジニア3 [dir=none]
エンジニア2 -> デザイナー [dir=none]
エンジニア3 -> デザイナー [dir=none]
}
SIer / Web 業界でのビジネス構造
SIer 的なピラミッド構造の場合、基本的に上層にいる人達「だけ」がおいしいです。
なぜなら、一番マージンを抜けるからです。ピラミッド構造では、仕事を他社に投げるたびにマージンを取るので、下層に行くころには低賃金になるわけです。
また、主導権も上層が握っています。もし、システム開発において急なスケジュール変更が起きたらどうなるか?。
上層の会社が下層の会社に「スケジュールが短くなったから早く作ってね」と伝えて終わりです。
下層の会社・人々がそのツケを巻き取るわけです。
その点、Web 業界の場合は自社で完結しています。自分のチームでもピラミッド構造的な指示が来ることも少ないです。
次に花形について説明していきます。
花形の違い
SE では「マネージャー」が花形で、Web 系では「エンジニア」が花形です。
下記が理由です。
-
SIer =ピラミッド構造なので、管理ができる人ほど優遇されます。
-
Web 系=メッシュ構造なので、技術能力のある人ほど優遇されます。
SE ではマネージャーが花形。
SIer はピラミッド構造です。
そのため、いかに仕事・人をマネジメントできるかが肝になります。
つまり、うまくマネジメントが出来る人は出世してキャリアがガンガン伸びていくはずです。
(なので「マネジメントが超得意!」って人は SE は悪くないかもです。)
Web 系ではエンジニアが花形です。
Web 系では、関係者も基本的に自社で完結して、チームもメッシュ構造的です。
チームは、個々のエンジニアの能力に依存して成り立っています。 逆に言えば、優れた技術的な能力を持ってて仕事を進められることが肝になるわけです。
基本的にリーダーがいても厳格にタスクの管理はしません。 エンジニアの成果、つまりアウトプットを中心に仕事も進めます。
そのため、技術力主義になるわけです。
さて、ここまでで、SE と Web 系の本質的な違いを説明してきました。
ここからは、この本質的な違いから、表面的にどう違いが出てくるか?を説明していきます。
表面的な違い
仕事内容
SE はサラリーマン的な内容で、Web 系はエンジニア的な内容です。
▼ SE の仕事内容
- 管理(下請け会社) = 下請けが提出してくる資料のレビューや、進捗状況などをチェック
- 管理(自チーム) = 自分の部下のタスクを管理
- 作業(自分) = Excel・Word で資料作り
- 調整(顧客) = 顧客に仕様の認識を合わせたり、タスク進捗とか説明する
**大別すると3つで「管理」「作業」「調整」**です。
下記のような流れがわかりやすいかと思います。
- ① 下請け会社・部下のタスクを「管理」して
- ② それらのアウトプット結果を資料化する「作業」を行い、
- ③ 最終的に顧客に説明したりする「調整」する仕事
これが SE の仕事です。
▼ Web 系エンジニアの仕事内容
- 調整 = 仕様確認や、説明など。
- 技術作業 = 設計
- 技術作業 = 実装(プログラミングとか)
Web エンジニアの仕事を超ざっくり説明するなら、この3つで OK かと思います。
もうすこし日本語を入れて説明します。
- ①「どんなものを作る?」を考えたり、教えてもらいます。
- ②「どう作る?」を考えたり相談します。
- ③ 実際に作ります
この中で ① の比率はかなり少ないです。 ②③ の技術的な作業がメインですね。
職場環境
▼SE
SE の場合は、マネージャーが管理しやすいことが大事なので働きやすさよりも均一化された環境が大事です。
- スーツ必須
- 早い時間から定時出社
- 音楽聞いたりは NG
- 低スペックの PC
- 決められたソフト以外使うのは NG
▼Web
Web 系の場合は、その出来高(=つまり成果)が一番大事なので、個々人がそれぞれの能力を最大限発揮できる環境が大事です。
- 私服 OK
- 朝はフレックス。11:00 出社の会社だと、12:00 にやって出社して人が集まる。
- というか、そもそも出社する必要ない(リモート OK)
- 音楽聞くどころか YouTube やアニメ見ながら作業してる人も。
- だいたい MacBookPro が PC(20 万円以上くらい)。
かなり個人の意見が強いですが、感覚としてはこんな感じです。
キャリア
▼SE
SE は、ピラミッド構造を登るしかないです。
- 一次請けへの転職
- マネージャとして昇進
ただ、そもそもマネージャーは組織・プロジェクトに対して数%しか存在できないロールです。 席が少ないので、競争率が高いです。
自分が出世するにしたがって、相手も全員マネジメントが超得意な人たちで優秀な成績を残してる人たちだけの世界です。
▼Web
Web 系は、技術をベースできるので多様なキャリアパスがあります。
- エンジニアとして多種の選択肢(フロント系、バックエンド系、アプリ系、機械学習系、etc)
- エンジニア+ α のキャリア(CTO、技術コンサル、起業、etc)
- エンジニアの技術力は世界共通(=海外転職可能)
エンジニア自体にも多種のキャリアパスがあります。
おわりに
以上です。
この記事がどなたかの助けになれば幸いです。