【退職エントリ】カナダのバンクーバーのスタートアップを辞めました
ども Nash です。今日はカナダ滞在の最終日で荷物整理をしていたのですが、どうやらこのエリア一帯が停電になってしまったようで電気・インターネットが使えない中、この記事を書いてます。
この記事は「カナダのバンクーバーにあるスタートアップの退職エントリ」になります。
では、書いていきます。
背景
2022/03 にカナダのバンクーバーにあるスタートアップに入社しました。 ポジションは、正社員でソフトウェアエンジニアになります。
入社エントリはここに書いてありますので、その当時のことはこちらを見てください。
【入社エントリ】カナダのバンクーバーでソフトウェアエンジニアとして働き始めました
そこから約1年が経たないくらい過ぎまして、早い時期感なのですが退職したのでこの記事を書いてる流れです。
辞めるまでの全体の流れ
入社から辞めるまでのざっくりとした、アウトラインを書いてみます。
2022/03 ごろ、自分が入社。この頃は会社としてもガンガン採用を進めていました。
2022/05 ごろ、自分たちのチームは一通りのメンバーがそろったので一度みんなでバンクーバーに集まり顔合わせ。イベントやオリエンテーション、CEO の家でパーティなどを行いました。日本的にいうと開発合宿のようなものですね。
2022/10 ごろ、不況の波がやってきて大量のレイオフが発生。会社全体としても 2/3 くらいにメンバーが減ります。ここらへんから、会社の資金フローが危ないというのがアナウンスされ始めます。
2022/12、会社全体で更に大規模のレイオフが発生。このタイミングで自分も退職しました。
年次ではなく月単位で大きめのごたごたが起きていたのですが、1 年間で見ると密度が高いですね。
では次は、やめたときの経緯について書いていきます。
辞めたときの経緯
いつものように「今日もバリバリ開発するぞー!」と思って働いていると一緒に働いているメンバーからこんな感じの DM が。
- 「突然、明日チーム MTG の招待が来ててこれなんか知ってる?不穏なんだけど。」
ほーん、と思ってメールボックスを見ても自分にはその招待メールが来ていません。 あれ?と思ってメールボックをよく見ると、チーム MTG の招待の代わりに違う MTG が。
- CEO + CFO + CTO +自分の4人だけの MTG
へ?と思ってたら CTO から DM で「会社の開発責任者として話したいことがある」と。
- 「あ、、、これ自分、レイオフやん。そんで、それをチームにアナウンスするのか、、、」
と察して、さすがに明日レイオフの通知を受けると思うとこの日はまったく仕事が手がつかず。
結局、その夜はレイオフになるなら!と前から欲しかった Switch をポチりました。あと、レイオフを宣言されたときに向けて「最後のコメント」的なのを考えて練習してました。
MTG に参加する
次の日、MTG に招待されて CEO + CFO + CTO から話を受けます。
-
CEO「前々から、会社のキャッシュフローがしんどくてな、、、」
-
自分(それなー。前々から説明も受けてたからね。)
-
CEO「なので、メンバーを絞って少人数にせざえる得ないだ、、、」
-
自分(お、きたか。ついにこれが噂のレイオフが!)
-
CEO「というわけで、そのメンバーに君も残ってくれないか?」
-
自分(???あれ?自分???残留???)
-
CEO「残念ながら、チームのメンバーはレイオフになる」
-
自分(oh…)
というわけで、真逆で自分以外のメンバーが全員レイオフになりました。 いやまじで本気で予想外。。。
MTG でパニック
レイオフされるつもり満々だったので正直 MTG では軽いパニック状態。
「なにか質問あればなんでも言ってくれ!」って言われても何も思いつかないし、とりあえずなにか聞きたいことあったらあとで連絡する的なことで MTG は終了。
「自分が英語を聞き取り間違えたんか?」と思って録音したものを何度も聞き返したけどどうやら間違ってなさそう。。。
とりあえず現実を受け入れられない状態ながらも、注文した Switch を受け取ってスプラ3しながら今後どうするか考えました。
考えるポイント
ざっくりと、これらの問題がありました。
- 会社の資金問題
- チーム問題
- ビザ問題
1つずつ見ていくとこんな感じです。
資金問題として、正直このままだと会社の資金がやばくて次の給与が支払えられるかもわからない状態です。まぁ、スタートアップなので給与支払いの不履行とかが発生してもそこまでおかしくはないかなーと思ったりしますが。ただ、問題なのは今後は会社がワークビザを発行することになるので、自分がカナダに居れるかどうかが会社の存続とリンクしてしまう点です。つまり、会社の資金が枯渇して潰れると、自分のワークビザも使えなくなりカナダに居られなくなります。
チーム問題として、レイオフによってチームメンバーが全員いなくなったし、どうやら CTO もいなくなる模様。そうなると今後は CTO ではなくて CEO と直接やり取りすることになります。今までは採用から面倒を見てくれていた CTO とメインでやり取りをして進めていたわけで安心して仕事ができたのですが、今後はどのような体制になるか懸念点が大きいです。
ビザ問題としては、残り3ヶ月くらいしかワークビザが残ってない点です。もともとはワーキングホリデービザを取る予定だったのも COVID の影響で取得できず、次のワークビザ発行とのタイミングも悪くて残りのワークビザがあまりないタイミングでこの件が発生してしまったのも痛い状態です。しかも、カナダのビザルールが 2022/11 に大きく変わって永住権の取得が難しくなってしまったこともあり、またこれに伴い次のワークビザ取得が本当にできるか不確定になってしまったのも問題でした。
考えた結論が退職
結果として、これを機に退職することにしました。
せっかくレイオフされずに残留できたものの、この状況で仕事を続けるのもシンドみが深いという結論です。
ちなみに、他のチームメンバーはレイオフによるパッケージで追加でお金をもらってましたが、自分はレイオフではなくて自分の都合による辞職だったため自分だけ退職金的なものが何もなかったです涙。。。。
と、ここまでが退職にいたる道のりでした。まぁ長い人生でこういうこともあるよね、って感じの内容です。
この会社でやってきたこと
ここからは「この会社で自分がやってきたこと」などについて、簡単にまとめておきます。約1年くらいなので、やってきたことなどはそこまで多くはないのですが、これらが特に印象に残ってます。
- 英語環境
- フロント+バックエンド開発
- Elixir による Job 系の開発
1つずつ見ていきましょう。
英語環境
当たり前ですがすべてのコミュニケーションが英語でした。
- MTG
- 仕様決め
- デザイナーとのやり取り
- 他エンジニアとのやり取り
- オリエンテーション
- ランチ、飲み会
- などなど
入社してすぐに思っていたことですが、技術力という観点よりも英語コミュニケーションのほうが遥かにしんどかったです。この点は、同じくカナダで働いている日本人エンジニアと会話しても、ほぼ全員が同じ痛みに苦しんでます。
逆に言うと、英語コミュニケーションがストレスにならない程度にまできちんと伸ばせておけば英語・技術の観点でみるとソフトウェアエンジニアとして主要な国でストレスなく働くことができるはずです。特に今の時勢だとソフトウェアエンジニアは高単価ですし。
ちなみに、仕事を通じて成長できる英語の伸びしろというものもあります。これはフルリモートだったこともあり、そこまでは多くはないものですが、とはいえ自分も伸びたかとは思います。ただ、どちらかというと「成長」というよりも「慣れ」なのかなと思っていますが。
また、個人的には下地の英語レベルとして最低限は仕事をうまく回せられたりコミュニケーションができるになるまでは、きちんとお勉強をするほうが「英語コミュニケーションによるストレス」という観点では理にかなってると思いました。
というのも、英語による会議・会話は億劫になるだけでなくストレス値もそれなりに高いので辛かったです。逆に、ストレス耐性が高かったり頭のネジが外れてる人なら学習効率の観点で見るとさっさと英語環境に入ったほうがいいかと思います。自分はストレスで死んじゃいますが。
フルスタック開発
Web サービスの開発という観点において、フロントエンドとバックエンドの開発を行いました。内容としてはかなり一般的でフロントエンドではコンポーネントを作り、バックエンドはで API を作るのがメインになります。
他の技術的な観点でいうと、State Source ではなくて Event Source で設計したものがあったのと自分が新しく作った機能も同様にこの設計で作ったりもしました。
また、他エンジニアが作成した PR のレビューもそれなりに行いました。特に自分がレビュワーとしてアサインされていないものについても、できる限りレビューはするように心がけてました。これは、自分の短所である英語力でチームに貢献するのが難しいと思い、自分の長所で戦うことを決めて考えた結果として PR のレビューをしまくるのがいいのではないのか、という考えでした。副業でもレビュワーとして毎日 1~5 個くらい PR レビューはしていたので慣れていますしね。
Elixir 開発
バックエンドの更に後ろ側にジョブシステムがあり、ここの機能が Elixir で実装されていました。自分は過去に Elixir を使っていた経験があることもあったので、新規機能の開発などを実装していました。
久しぶりに Elixir を使って、2022 年の今だから思うところとしては正直「動的型付けの辛さ」をどうしても感じてしまいました。
動的型付けについて、Ruby on Rails なども同様でラフにばっと書く分には悪くはないのですが、やはりこの数年は静的型付けである TypeScript・Rust・Go をやっている身としては型がないコードはふわふわしていて書くときの体験はあまり良くなかったです。
Elixir という言語は改めて見ても書きやすく、例えば提供している built-in 関数は欲しいものがほぼたいていあるし、パイプラインや with でつなぐ書き方は楽しいです。ただ、動的型付けによるデメリットのほうが、書いていて意識として大きく向くようになってしまったのが個人的な感想です。
ここまでが、この会社でやってきたことでした。
今後やっていくこと
今後についてはこれらのことを考えてます。
- 生活拠点をカナダから日本に戻す
- Rust やりたい
生活拠点をカナダから日本に戻す
ひとまず日本に生活拠点を戻します。理由はいろいろあって、帰国エントリでも書こうかなと思うので、詳細はそっちに書こうかと思います。
(追記)帰国エントリ、書きました。
次の仕事は Rust やりたい
今後のキャリアを考慮して、次の仕事は「Rust による開発」を選びたいなーと思ってます。
今回退社したこの会社に入社したときの観点として、技術的な観点はそこまで強くなかったこともあり、次の就職時は「好きな技術スタック」を重めにしてもいいかなとも思ってます。
とはいえ、もしかすると「賃金」や「英語チーム」などを重視することになるかもしれないので、実際に次の仕事がどうなるかは次の入社エントリとかで答え合わせをしましょうか。
おわりに
人生で初めて英語圏であるカナダの会社で正社員として働いたということもあり、この会社で働けたことは正直なところ毎日のように刺激があり今思うと楽しかったですね。(その当時は辛かったことも多いですが笑)
英語に苦戦したり、いろいろな国のメンバーと仕事をしたり、レイオフかと思ったらまさかの自分から辞職したりと、約1年間という短い期間ながらも密度は濃かったと思ってます。
というわけで、しばらくは日本に帰国して長めの冬休みを取る予定です。 おつかれ、おれ。
突然、自分は招待されないチームMTG。代わりにCTO+CEO+CFOから呼び出し。ついに自分もレイオフか。。。と思ったら逆に自分以外のチームメンバーが全員レイオフ。この状況で続けるの辛いので自分も辞職。そしてCTOも辞職の模様。現代版、そして誰もいなくなった事案。今日が最終出勤日。おつかれおれ。
— Nash (@snamiki1212) December 1, 2022