ソフトウェアエンジニアの海外キャリア戦略・目標を見直した話
ども、Nash です。
この記事では、「ソフトウェアエンジニアとして、海外キャリアをどう進めるかの戦略と目標を見直したときの考え」についての記事になります。
中期目標として「カナダで働くこと」を掲げて、短期目標などを決めたり行動していたが、その「中期目標」と「中期目標に対する戦略」を変えた。戦略名をあえて付けるなら「短期学生からの海外キャリア戦略」から「フリーランスからの海外キャリア戦略」に変えた形となる。
前提
海外キャリア戦略においては技術力/英語力/資産の他に「ビザ戦略」は最も大事なものの一つとなる。
ビザについての言及はしないが、それぞれの簡単な用語
- ワーホリビザ:30 歳の誕生日までに使用可能な現地で就労が行えるビザ。国によって年齢/申請時期/申請方法などが様々。
- ワーキングビザ:就労ビザの1つ。会社が国にお金を払い、個人に対してビザを発行する形となるケースがほとんど。会社側でお金がかかるので行ってもらうには難易度が極めて高い。
- Co-op ビザ:カナダ内の特殊ビザの1つ。学校に通った期間に応じて、学生兼就労が可能になるビザが発行される。
「短期学生からの海外キャリア戦略」
「短期学生からの海外キャリア戦略」:概要
さて、カナダで働くとして、戦略的にどのように動くか?についてだが、以前相談に乗ってもらっていた Frog 社の人におすすめされている流れに沿っていこうかと思っていた。ここでは「短期学生からの海外キャリア戦略」と呼称して、大まかに下記の通りである。
「短期学生からの海外キャリア戦略」:流れ
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日本からカナダに行く
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カナダの短期語学学校に通う(0~3 ヶ月)
- 英語に慣れる
- カナダに慣れる
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卒業
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カナダの IT 系の短期学校に通う(1 年)
- エンジニアリングの学習をする
- この時点から、仕事を探す
- ポートフォリオを整える
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Co-op ビザが発行される
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学校に通いつつ Co-op ビザで会社で働く(1 年)
- 就職した現地の会社で働く
- もし就職できていなければ就活をする
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Co-op ビザが切れる+卒業
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ワーホリビザを使う
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就職
- 就職した現地の会社で働く
- もし就職できていなければ就活をする
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ワーホリビザが切れる
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ワーキングビザを会社にて出してもらうように掛け合う
- → これが成功すればこのまま現地で働き続けることが可能
フィリピンなどの二国留学にしないの? Frogの人曰く、2018年時点で、フィリピンの物価の上昇によりそこまで安くなくなってしまっている状況や、フィリピンに行かずにカナダに行ったほうが良い結果になっているメンバーが多い、などが数字として出ているためメリットが少ないのでおすすめしていないとのこと。
「短期学生からの海外キャリア戦略」:特徴
この戦略に対する特徴は下記の通りである。
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地域密着性
1つの地域に密着してキャリアを形成するためコネクションやナレッジが濃厚になる。また、永住権の取得を視野に入れることも可能だし、その国を基盤に近くの国への移動にチャレンジしやすくなる。特にカナダの地理感から日本に比べると渡米チャンスが圧倒的に低リスク低コストで行えるようになる。
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キャリア
何かしらの理由で上記フローを途中でやめた際にエンジニアとして中途半端なキャリアになっている可能性がある。
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運の要素
最終的にワーキングビザを現地会社に出して貰えるかは運の要素が大きい。
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キャッシュ
語学/短期学校の学費と生活費が高い。
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期間
この戦略の最終段階に行くまでの期間が長い。具体的には 3 年以上。今の時代の流れから 3 年後に何が起きているかはわからないが、少なくともピボットの選択肢を持つことは絶望的になる。
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時限
この戦略の終盤にワーホリビザを使うため、およそ 28~29 歳の冬の時点でカナダの語学/短期 IT の学校に入っている必要がある。
自分の所感として、この戦略はハイリスク・ハイリターンという要素が強く感じる。
#「フリーランスからの海外キャリア戦略」 ##「フリーランスからの海外キャリア戦略」:概要
さて、「短期学生からキャリア戦略」から「フリーランスからの海外キャリア戦略」に戦略をピボットすることを考え始めた。「フリーランスからの海外キャリア戦略」は日本にいる時に日本のフリーランス案件の基盤を作ってから海外に出ていくノマドワーカースタイルである。
「フリーランスからの海外キャリア戦略」:流れ
- 日本で国内フリーランス案件の経験と実績を貯める(0
3年)- 収入が見込める安定したフルリモート可のフリーランス案件を手持ちにストックしておく
- フルリモート可の国内フリーランス案件を案件を少なめに持っておく
- そのまま、海外の XXX 国へビジタービザで渡る
- 海外で日本のフリーランス案件の仕事を行う
- XXX 国の現地の就職口を探す
- 現地で就職する+ワーホリビザに切り替える
- ビザが切れる
- 選択をする
- 会社にワーキングビザを出してもらうなら、そのまま滞在して現地で働く
- 次の国の YYY 国へビジタービザで渡る
- → 上の 3 に戻る
- →★ 基本的に他の国へそのまま渡るのを基本戦略とする
「フリーランスからの海外キャリア戦略」:特徴
この戦略に対する特徴は下記の通りである。
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地域密着性が低い
1つの国に焦点を絞らないのでコネクション/ナレッジが弱く、ワーキングビザや永住権の取得が行いにくい。
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複数国でのノマドワーク
多文化や様々な現場の経験を行うことができ、様々な国でのキャリアがつめる。また、それぞれの国に対して高依存しない分、国ごとの不況に対する耐性は高い。
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現地の就職難易度が高い
仮にワーホリビザがあっても就労ビザが 1 年分になるので、企業側としてもその期間で離任してしまう前提の人材は扱いにくい分、採用の難易度が上がる。また、途中で会社を変えるのもビザ期間的にも現実的に選択しにくい。
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キャッシュ
常にフリーランス案件が手元にある状態なのでキャッシュは豊潤にある可能性は高い。
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ロケーション・セービング
持っている案件の金額と生活している国の物価からネガ・ポジの両方でロケーション・セービングが発生する。例えば、日本のフリーランス案件の給与を元にタイで生活すれば執事/メイド/送迎車つき一軒家とかでもおつりがくるレベルで普通に暮らせるような金額の差額が生まれるが組み合わせを誤ると、逆もまたしかり。ポジティブ・ネガティブの両面に効くので、最初は日本よりも物価が同列・安い場所へ行くのが良いと思われる。
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海外フリーランス案件の受注
自身に技術力があり、多国でのキャリアを持ち、英語でのコミュニケーションが行えるようになれば、おそらく海外で発注されているフリーランス案件を視野に入れることができるようになるため、日本語によるランゲージ・バリアはなくなるが、世界市場を元にした金額感でのリモートワークにチャレンジが可能になると思われる。
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時限
ワーホリビザを前提にした戦略なので 30 歳までは色々な国へ渡ることが可能。ただし、30 歳をすぎるとワーホリビザがなくなる分、ワーキングビザを出してもらう前提での就職活動は極めて難易度が高い。
自分の所感として、この戦略はローリスク・ミドルリターンという要素が強く感じる。
まとめ
というわけで、下記の2つの海外キャリア戦略についての整理を行った。
- 「短期学生からの海外キャリア戦略」
- 「フリーランスからの海外キャリア戦略」
もともとハイリスク・ハイリターンの「短期学生からの海外キャリア戦略」で進めようと考えていたのは、固定観念として「エンジニアの最終ゴールはアメリカに行くこと」だと思っていたところが強い。 だが、改めて考えると必ずしも全てのエンジニアがそこを目指す必要もなく、またそもそも常にアメリカがエンジニアの中心になり続ける保証もない。
また、20 代のうちはキャリア形成・人格形成・活動の幅を広げることのほうが大事だと思うし、「フリーランスからの海外キャリア戦略」のメリデメを改めて整理してみると得られるものや戦略の方向性が今の自分の思考にマッチしているところもあり、こちらの選択肢にスイッチしようと思った。
具体的には、
- オプションの余地を残せられる
- 1つの国に依存しない
- キャッシュの豊潤さ
- 複数国での経験
あたりこそが大事だと思っている。
また、キャリアのステップとしてまずはフリーランスとして国内で案件を多く捌いてキャリアを形成するのは妥当なステップアップだと感じるし、経験上ハイリスクなものを選択したり、いきなり階段を一段抜かしでキャリアを形成すると、どこかに歪みが出てあまり良い結果を生まない予感もある。