タイトル
ども、Nash です。
この記事では、『実践!1on1ミーティング 』の読んだ結果の書評レビューになります。
結論から言えば、自分にとってはかなり学びが多く、なにより 1on1 について誤った理解をしていたことに気付くことができたので読んで本当によかったです。
では、見ていきます。
この本はどんな本?
本書は、これまで 8000 人(2020 年末時点)のマネジャー相手の研修実績を持つ筆者が、永続的な企業の発展に繋がる 1on1 ミーティングの本質や具体的な方法を解説するもの。
タイトルからも分かる通り 1on1 についての解説本になります。 内容として、やり方(HowTo)よりも本質(Why)の解説比率が高い印象です。
この本から得られること
理屈ややり方(技術・段取り・質問の仕方)ではなく、実践から導き出したあり方(気持ち・信頼・人間力)の問題を重視し、精神論ではなく具体的な方法論に落とし込んだ、まさに悩めるマネジャーに向けた一冊である。
この本では、これらのことが得られるかと思います。
- 1on1 を行う意味、理由、目的、背景などの本質を理解できる
- その上で、どのように 1on1 を進めるかのやり方を学べる
この本はだれが読むべき?
このような人が読むのをおすすめします。
- 1on1 について懐疑的な人
- 主導側として 1on1 を行う予定の人
- 1on1 を受ける側の人
だれが読んだの
この本を読んだ私の簡単な背景について説明しておきます。
現在、フリーランスのソフトウェアエンジニアとして参画しているプロジェクトにて、チームビルディングなどのソフトな施策を主導していました。
その中の一環として、モバイルの開発チームメンバー全員と 1on1 をし始めていたのですが、1on1 のやり方についてはネットの知識をかなり見ていたのですが書籍で学んだことがなかったのでこれを機に学ぼうかと思って読んだ次第です。
書評
では、自分が読んだ結果の評論を書いていきます。
コーチングとトレーニングの違いを理解できた
この2つの違いについて理解をすることが出来ました。この本では、このような形で説明されています。
- コーチング:横の支援
- トレーニング:縦の支援
特に、現代の 1on1 ではなぜトレーニングではなくてコーチングが求められていて、重要なのかに繋がり理解が深まりました。
機能主義ではなく、なぜ感情を大事にするのかを理解できた
自分自身が新人のことに受けてきた 1on1 は機能主義な内容だったように感じます。例えば、目標面談では具体的に自分が仕事で何をやってその成果はどうなのかを事前にまとめてから 1on1 に望む必要があるものでした。
ですが、今の時代に求められる 1on1 では、機能主義ではなくよりソフトで感情をメインにした 1on1 となります。
その理由についても、雑に書くとこんな感じの背景があるからです。
- VUCA 時代の到来
- 自立型人材が必要
- 強化すべきは内発的動機
- そのための施策が 1on1
機能主義な面談ももちろん機能することはありますが、それとは別のベクトルで 1on1 がなぜ必要なのかを強く理解することが出来ました。
助言をするのではなくて、壁に徹する
いままでの面談では自分が気付いた内容について「助言」をしていました。ですが、この本を読んだ後だとその比率が高いのは悪手だと気付いたので聞き役で壁に徹するようになったかと思います。
将来のビジョン・キャリア像などを考えていない、考えられない人についても理解できた
「すべての人が将来のビジョンを持つことができる」という考えを無意識に持ってしまっていましたが、この本でそれ以外の方向性で人生を構築している人がいることも理解できました。
この本ではそれを2つのベクトルで説明しています。
- ビジョン型
- 価値型
価値型のタイプの人が、どのように考えているのかを理解できたので、そこから 1on1 ではどのように考えを引き出せばいいのかも自ずと理解できるようになりました。
ネット記事だと「やり方」だが、この本では「なぜ」の本質を説明
この本では、かなりの比率を 1on1 の本質的な説明に費やされています。
- なぜ今の時代に 1on1 が必要なのか
- よくある 1on1 に対する勘違いや間違い
この本を読む前に、かなりの量のネット記事を読みましたがそれらで述べられているのは HowTo の内容がほぼ大半です。その点、この本では「なぜ」という本質的な点について丁寧に説明されています。
「ただの HowTo を学んだ人」と「本質を理解した人」では、1on1 の質に大きな差が出るかと思います。 その点でも、この本はネットでは得にくい情報が密度高く述べられていたのでかなり有意義でした。
よくある 1on1 に対する勘違い・思い込みに気付くことができる
もしも、これらについて思い当たるフシがあるとしたら、どう考えても 1on1 について思い込み・誤った理解をしています。
- 誘導尋問のように進めてしまう
- 主導側がアクションプランを提示しがち
- 受け手側の考えの浅さにイライラする
きちんと、1on1 の本質的な目的や理解をしていたらこのような考えは絶対に起きないはずです。つまり、老害になっている可能性が高いので、1on1 に対するメンタルを改めたほうがいいかと思いました。
具体的な 1on1 の進め方についてもナレッジを得られた
この本の大部分は、1on1 の理解のための説明ですが後半では具体的な進め方のナレッジも説明されています。
例えば、このようなことについて解説されています。
- 広げて、絞って、掘り下げる
- Should ではなくて Want を聞く
- 欠けてることじゃなくて、すでにできてること・リソースを聞く
- 5 分前には絶対に心を整える。プロも必ずしてる。
ロジカルと正解よりも、エモーショナルと失敗を優先する
1on1 の目的は相手を自律型人材にしていくことのため、助言をして短期的な成長を促すよりも、本人の気付きを試してもらって失敗を通した長期的な成長を重視します。
つまり、非ロジカルな主張・失敗の匂いがするアクションも許容します。 そのため、これらの主張を許容するだけの寛容さが必要になるかと思いました。
この本を読んでから実際に 1on1 をやった結果
結果としてこのような変化や気付きを得られました。
- トレーニング・目標面談の色が強かったものが、コーチング・深堀りの比率が遥かに上がった
- こちらから積極的な助言が減る分、受ける側が自発的な気付きを得ることを促進する傾向があるだけに、より長期的な視点が必要だと強く感じた
- 各メンバーの思想・考えを深く知ることが出来た。自分が勝手に勘違いしていたこともあり、すり合わせを劇的に行うことができた。
この本で語られてるキーワード
最後にこの本で語られていた内容について、キーワードレベルで残しておきます。
- ラポール。心理的安全性。自己開示。メラビアンの法則。
- VUCA 時代。自律型人材。
- 成功循環モデル。
- コーチングとトレーニング。
- 機能価値より存在価値。機能承認より存在承認。
- 原因論型から目的論型へ。
- 「べき(Should)」ではなく「たい(Want)」
- 外発的動機よりも内発的動機。
おわりに
リーダー・マネージャーからすると 1on1 は正直なんとなくなら出来てしまうかと思います。
ですが今回、この本を読んでみましたが 1on1 をいろいろ勘違いしていたことに気付くことも出来ました。 また、この本から得た内容は深く、その内容を 1on1 にて試している途中です。 そのため、トライを繰り返している自分自身も毎回の 1on1 の進め方に成長を感じることが出来ています。
この本を読んで気付きを得なかったら、このような振る舞いの変化は起きなかったこともあり、読んでよかったと思わせてくれる本でした。
1on1 に携わる人ならおすすめできる良い本でした。