海外でコンピュータ・サイエンスを学びたい人向け前提知識をまとめ【大学・大学院・MOOC】

こんにちは、国内大学で CS 学位を修了していますが改めて学びなおしたいと思っている Nash です。

この記事は、「ソフトウェアエンジニアが海外のコンピュータサイエンス(CS)の学士・修士について知っておくべき前提知識についてまとめた記事」です。

背景として、「海外大学・大学院で CS について改めて学びたい!」と思って色々な記事を読んだのですが、そのときに単語の意味などを整理していったらナレッジが溜まっていたのでコレを機にまとめました。

また、最後に自分の所感についてもまとめておきます。

この記事での各単語などはわかりやすさ優先にしていて厳格に単語レベルでは正しくないかもしれないですがご了承を。あと、ネット上のいろいろな記事を読んだ上でのまとめなので、これらのリンクも最後に参考文献として参照先を列挙しておきます。

では見ていきます。

海外大学の CS に関する前提単語

当たり前だろ、って単語もありますが、出来る限り全部網羅できるようにしてあります。

コンピュータサイエンス:CS

コンピュターにまつわる理論を体系的にまとめた学問。(以後 CS と書きます。)

データサイエンス:DS

データを用いたアプローチを体系的にまとめた学問。(以後 DS と書きます。)

  • 情報学・統計学・アルゴリズムとかを横断的に使う。
  • まだ国内だと DS は一般的ではない印象。
  • ただ、2020 年時点では各大学が力を入れ始めてる段階で、どの大学がこの学問で主権をとるか?みたいになってるぽい。

TOEFL / IELTS

英語試験。入学や入試などの要件に使われる。

  • 国内では TOEIC がメインで使われる。だが、海外では TOEFL か IELTS がメインでこれらが必須になる。
  • また、試験内容・使われる単語がそれぞれのテストで結構違う。なので、受けるテストを変えると学習コストがそれなりにかかる。「どの試験にするか?」は、「なんで試験を受けるの?」に依存するので、事前にきちんと調べるほうが良い。
  • TOEFL はアメリカで、IELTS がイギリス(ヨーロッパ圏)に使われるケースが多い。
  • ただ、最近はどっちでも OK だよ、のケースが多い。

Accreditation | 認定機関

大学のクオリティに対する認定機関。

  • 国にもよるが、特にアメリカだと学校のクオリティの担保を政府ではなくて、民間の複数の認定機関が行ってる。
  • そのため、「XXX 大学は、どの認定機関によって認定されてるの?」がめちゃくちゃ大事。
  • 無名の認定機関だったり、そもそも認定機関によって認定されていないと、授業のクオリティが担保されていなかったり、せっかく大学を卒業してもも社会的に学位として認められないこともある。なので要注意。
  • 認定機関ごとの信用度として、地域認定機関(reginal)が一番強くて、国際認定機関(national)とかは弱い。

GPA (Grade Point Average)

学校の成績評価方法。0~4 の 5 段階評価がグローバルスタンダード。だいたい 3.5 以上なら優秀。

  • 日本では就職時にあまり評価されない印象。2020 年現在では GPA の評価も就活時に見られるケースもあるようだけど、そもそも大学毎で GPA の定義の差異も大きいし、まだまだな印象を受ける。
  • 海外、特にアメリカは完全に GPA 社会。GPA で人生が決まるレベル。ヨーロッパ圏やカナダでも、大学院に入る時にも足切りのラインでも使われる。
  • 大学院に行くなら、3.0 以上ないと結構厳しい。不可能ではない。
  • 日本の GPA と海外の GPA だと基準の甘さ・辛さがかなり違う。そのため、国内の大学での GPA を海外で評価されるときは、第三者機関に委託して再評価してもらい、グローバルスタンダードな GPA の値に変えてもらう必要がある。
  • TOEIC みたいに何度もテスト受けて点数を上げる、みたいのが基本的にできない。なので、国内の大学であってもやり直しが効かない上、人生が大きく決まるスコアなので大学生のときは GPA だけは死ぬ気で高ポイントを取ることが大事だった(自分の場合は手遅れ涙)。

GRE (Graduate Record Examination)

英語で大学院レベルの学習が出来るか?を測るための試験。

  • 一般知識と専門知識が問われる。
  • アメリカ大学院ではほぼ必須。カナダやヨーロッパでも使われたりする。
  • 全部英語なので、試験のハードルは結構たかい

GMAT (Graduate Management Admission Test)

MBA 留学時にのみ使われる GRE みたいな試験。

  • (MBA とは、経営学修士の略称。Master of Business Administration。)

MOOC (Massive Open Online Course)

大規模公開オンライン講座。インターネット上で誰でも受講できる無料の講義。

  • 2010 年あたりから一般的になり、知名度も実績も右肩上がりなイメージ。
  • 修了証だけでなく、学位まで認定されるものもある。
  • プラットフォームとしては、Cousera、edX、Udapacity あたりが有名。
  • ただ、講義内容や特徴がプラットフォームによってかなり違いがある。
  • 具体的には、金額・修了前提条件・講義時間・学位の有無・修了証の有無・どの大学が参画してるか・課題の多さ、などなど。

学位| Associate Degree | 准学士号

2 年生大学を修了した際に得られる学位。

学位| Bachelor’s Degree | 学士号

4 年制大学の修了時に取得できる学位。

学位| Master’s Degree | 修士号

2 年間の大学院課程修了時に取得できる学位。

  • 海外では国によって、1~2 年で期間が異なる。

学位| Ph.D | 博士号(博士=Doctor)

3 年間の大学院課程修了時に取得できる学位。(修士とは別なので合計 5 年)

学士 | Second Bachelor’s Degree | セカンドバチェラー

2つ目の学士

  • 海外では割と一般的みたい。

  • 例えば、「文系で経済学を専攻して大学卒業後に、大学に入り直して CS の学士を取る」みたいな感じ。

  • 逆に、すでに CS を持っている場合は、学校によるが CS の取り直しは基本的に出来ない。

QA 形式で大学の CS について考える

まとまったナレッジをもとに QA 形式で自分の考えをまとめました。

Q. 国内で CS 以外の学士を取得済みだけど、海外で CS 学士を取りたい

A. CS の学士でなくて、CS の修士を狙ったほうが良いかも。

  • 国内で CS 以外の大学を卒業していれば、CS の海外大学院に入れるケースも割とある。
  • なので、セカンドバチェラー、つまり CS の学士を狙うよりも、海外 CS 大学院に理転して修士を目指すのが実は良さそう。
  • ただ、海外大学院に入る場合は大学卒業時の GPA の高さが特に重要になるので注意。

Q. 国内で CS の学士を取得済みだけど、海外で改めて CS の学士を取りたい

基本的に取れない。どうしてもなら、UoPeople が良いかも。

  • すでに CS の学位がある場合、同じ学位は基本的に取れないです(絶望)
  • CS をやり直したいなら、大学ではなくて大学院で学びなおしてください、というスタンスらしい。
  • 更に、大学院に入るためには、GPA がそれなりに必要なので、これが足りないと詰む(詰んだ)
  • とはいえ、大学によっては 2 重で取れるところもある。
  • けど、わざわざ取りなおすよりも、自習で知識を確実につけたほうが良いかも。

Q. なにも学位がないけど、海外で CS の学士を取りたい

コスト面や学位が認定される点から、UoPeople が良さそう。

  • UoPeople ならオンラインだけで完結して、授業料無料で、認定機関がそれなりにしっかりしてて、CS の学士が取得できます
  • 参考文献に UoPeople について説明してくれてるリンクがあるので、そっち参照。

Q. CS に興味があるけど、大学入るだけのまとまった時間が取れない。

MOOC を有効に活用するのがベターかと思います。

  • 転職などで、自分のスキルの証明責任を果たすためにも認定書はある程度は意識したほうがよいです。
  • 国内なら、応用情報・データベーススペシャリストなどの IT 系資格をひたすら集めるのも良いかと思います。正確には CS とは完全には一致しないですが。

Q. DS の学士を取ろうか考えている。

旬なので良いかと思うけど、データサイエンス系をメインにする仕事だと学習コストのハードルは高そうなので注意。

  • DS をメインに使って大企業で働いていく場合は、Bachelor では学位としては弱いので、Master か Doctor までの学位までが必要なケースが一般的みたいなので注意です。
  • ただ、スタートアップ系や DS をサブのスキルとして扱う場合はその限りではないみたいです。

Q. 独学・大学・MOOC かどれが良い?

銀の弾丸はない。それぞれの特性とメリデメを考える。

  • 背景として、今までなにかを学ぶときは「独学」or「大学」の極端な2つしか選択肢がなかった。けど、その間の選択肢に広く MOOC が入ってきてくれた印象。
  • 独学:本とかだけ買えば良いので超低コスト。ただ、認定証などが無いので知識証明が難しい。
  • MOOC(or オンライン大学):普通に大学に行くのと比べて遥かに格安。ただ、プラットフォームによって条件や内容が千差万別なので比較してね。個人的には単位が取れる講義はメリットが超でかい。認定証が発行されるケースもある。ただ、学士に比べると就職の面では弱め。そのため、ポートフォリオを作り込んでおいたり、JobInterview の練習もしっかりしておくほうが良いかも。
  • 大学:超高コスト。今、高校生の人が進学する大学を迷ってるなら国内ではなくて海外にするのはありだと思う。すでに社会人でソフトウェアエンジニアの場合はメリットよりデメリットのほうが大きいとも思う。

Q. 大学がオワコンになるか

上にも書いたけど、オワコンにはならない。ただ、「MOOC で良くね?」という流れになりそう。

大学の特徴として下記などがあるかと思っている。

  • 高い学費
  • 長時間の授業(4年間
  • 実践力よりもアカデミックな内容

ただ、実は海外の大学に行く最大のメリットは「その国で滞在・就労可能なビザを受け取れる点」だと思ってる。

なのだけども、「昨今の政治事情」と「大学に通う期間が4年間」という2面で見るとかなりハイリスク+ハイコスト・ハイリターンになってしまってるようにも感じる。

例えば、現在のアメリカを見てると移民については排斥する力学がかなり強い。4 年間かけて大学などで学んで、卒業したときにせっかくその国で働くためのチケットとしてのビザを取得できても、その時期に政治的な理由やコロナなどのパンデミックなどの諸々の事情により就職ができない可能性も出てくる。

特に今のビジネス・政治の速度からすると4年間というのはいくらなんでも長すぎるとも思っている。

というわけで、ビザという観点で見たときに海外の大学に行くことは、かなりのハイリスク+ハイコスト・ハイリターンな選択なのではないかなーとは思う。

とはいえ、人生経験として長い目で見たときに海外で過ごし、学び、コネクションを形成するのは悪くはないし、何よりロマンを感じるので、個人的には嫌いではない。

まとめ

一通りナレッジが溜まったあたりで、自分の場合は

  • 「CS の学士を修了済みだけど、GPA がめちゃくちゃ低い」

という状態なため、海外で CS を取り直すのが厳しい状況、ということがわかって絶望です・・・。

選択肢として UoPeople もわるくないとおもいつつ、 ただ、自分の目的はあくまで「CS の知識をきちんとつける」がメイン。

なので、高い GPA の取り直しはできないですが、本や MOOC をメインに地道に CS のお勉強をしていこうかと思います。

というわけで、次は CS の知識を得るための本や MOOC についてまとめようかと思います。

ちなみに、合わせて IT 系の資格(データベーススペシャリストとか)を取ろうかと思ったのですが、今年(2020 年)に海外に拠点を移そうかと思っているので、それもできなさそうです。

参考文献

下記の記事を一通り読んで海外大学・大学院の CS についてナレッジをためました。感謝です。

基礎知識

実体験

その他| MOOC、DS、ビザ、

その他| CS 学士あるけど GPA が低い人向け(俺です